夢☆ファンタジー(メイドさんのお話4/4)

メイドさんが生き返る気配はない。
失敗だろうか。
しかし、失敗したからといって落ち込む必要はない。
どうすれば成功するのか考えればいいだけだ。
いつかどこかで誰かが言った。目標に向かっている限りはいつか目標にたどり着く、
何故なら"向かっている"のだから……と。
その通りだと思う。
そして失敗が成功への一つの一里塚だと考えれば、
落ち込むどころか希望の光で胸が満たされてくる。
今のメイドさんには何が足りないか。
血が足りない。いくら心臓が動こうとも血がなければ意味がない。
血液は生物の燃料だ。
そうだ、動くには燃料が必要だ。答えは、案外あっけなく導き出された。
俺は玄関から灯油が入ったポリタンクを引き摺ってくると、
電動給油ポンプをメイドさんの喉奥にしっかりと挿し込み、
抜けないようにグッと左手で押さえつけたまま右手でスイッチを入れた。
ゴボゴボと音をたてながらメイドさんの身体に灯油が注ぎ込まれていく。
メイドさんの喉からはすぐに灯油が溢れてきたが、
どうもメイドさんの身体に灯油がきちんと入っている気がしなくて、
部屋が汚れるのを覚悟でそのまま給油し続けた。
メイドさんの身体がグチャグチャに灯油浸しになって、
メイドさんを中心に灯油溜まりがじわじわと広がるのを見て、
さすがにもう充分だろうとスイッチを切った。
メイドさんは動かなかった。
待てども待てども動かなかった。
じっと待つ内にすっかり明るくなって、腹が空いてきた。
何か食べに行こうか。
このメイドさんをどうしよう。
今は考えないことにした。
飯を食べている間にメイドさんを生き返らせる新たな案が思い浮かぶかもしれないし、
飯を食べて帰ってくる頃にはメイドさんが目を覚ましているかもしれない。
そう考えて、血と灯油でグチャグチャになった格好のまま、部屋を出た。
太陽の光が眩しく、スカイブルーの爽やかな風が頬を撫でた。
コメント

No title

すごい好きだ、この話
最高だと思う

ありがとうございます。
生物と無生物の違いって何だろうと考えている内に思い付いた話です。
あんまり真面目な話にしたくなかったので、正常な思考ができない(あるいは、メイドさんが
降ってきた瞬間に正常な思考を失ってしまった)男に主人公になってもらって、
読み手によって怖い話とも悲しい話とも笑い話ともとれるようにしてみたつもりです。

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